テンジクダイ科
[Apogonidae]



テンジクダイ科のお魚は,
雄が口内保育をする面白い習性があります!

出産の季節が来ると,
雄は喉元を膨らませて,卵をくわえる練習をします。
群れでいる種が多いですが,
出産前は群れから離れ,ペアで岩陰などに移ります。
出産後の口内保育の期間は1週間強ですが,
そのときは,ペアを解消し,
雄は単独で,なにも食べずにいるそうです。

結構種類が多く,日本には15属86種います。
大きな群れを作るタイプ,パラパラといるタイプ,
他のテンジクダイ科の魚と混泳するタイプがいます。

テンジクダイ科のお魚には,
「イシモチ」と付くものが多いですが,
頭部の内耳に,
耳石という硬い骨(三半規管)があることに由来します。
「石持ち」ですね!

「テンジクダイ」と付くものも多いですが,
「イシモチ」と「テンジクダイ」の使い分けは・・・
語呂がいいかどうか,なんだそうです。
ホントかな?



スズキ目 スズキ亜目 テンジクダイ科
テンジクダイ科 テンジクダイ亜科 テンジクダイ属 ネンブツダイ
クロホシイシモチ
アオスジテンジクダイ
オオスジイシモチ
コスジイシモチ
キンセンイシモチ
ウスモモテンジクダイ
ミヤコイシモチ
アトヒキテンジクダイ属 スミツキアトヒキテンジクダイ
アトヒキテンジクダイダマシ
サクラテンジクダイ属 サクラテンジクダイ
ヤライイシモチ属 スダレヤライイシモチ
ヤライイシモチ
Pterapogon属 アマノガワテンジクダイ
スカシテンジクダイ属 スカシテンジクダイ
マンジュウイシモチ属 ホソスジマンジュウイシモチ
マンジュウイシモチ

アマノガワテンジクダイは,
水族館で,水槽の外から撮影したので,
ブログで公開しておきます。



ネンブツダイ
Apogon semilineatus
2006.8.26 菖蒲沢 
7〜9月が産卵期でペアになります。
求愛中に発する音が念仏に聞こえる,
口内保育中にパクパクする姿が,
念仏を唱えているようだ,
と,名前の由来は諸説あるようです。

11〜15cmくらいになります。
クロホシイシモチ
Apogon notatus
2006.7.29 富戸 
ネンブツダイと似てるので,
うっかりすると間違えます。
目の上が,黒斑点か縦帯かで区別!
名前の由来は,この黒斑点です。

水深5〜10mの岩礁域に群れてます。
夜に活発に動き,甲殻類を食べます。
アオスジテンジクダイ
Cheilodipterus quinquelineatus
2008.9.17 西表 
体長は12cmくらい。
橙色の体に目を通る2本の青い筋と,
尾柄部の太い黒帯が特徴。
黒帯有無でアオハナテンジクダイと区別。

浅海の岩礁域の洞窟や岩陰などで,
数匹で群れている。
オオスジイシモチ
Apogon doederleini
2007.8.25 菖蒲沢 
縦帯は5本(一番下は不明瞭)で,
尾鰭付け根に黒斑あり。
帯は黒斑には,かからない!

コスジより少し浅場にいます。
大きな群れは作らず,単独で生活し,
夜に活発に泳ぎます。15cm程度。
コスジイシモチ
Apogon endekataenia
2007.8.25 菖蒲沢 
縦帯は8本,尾鰭までかかる黒斑あり。
名前の由来は,小さい筋。
夜行性で,幼魚のときはよく群れます。

小さいうちは筋が少ないそうです。
黒斑と真ん中の筋が付いてると,
コスジと判断していいようです。
キンセンイシモチ
Apogon properuptus
2008.9.17 西表 
白色縦帯5本 or 金色縦帯6本。
後者が名前の由来です。

6cm程度の大きさです。
目の下のラインで,
2種(ドット型とライン型)に区別でき,
伊豆はドット型が多いそうです。
ウスモモテンジクダイ
Apogon trimaculatus
2008.9.18 西表 
成魚でも5cm程度。
太平洋からインド洋に分布。
内湾の珊瑚礁域に生息します。
エダサンゴの周辺で大きな群れに。

尾柄部の丸い黒斑が特徴。
尾鰭先端もちょっと黒いです。
ミヤコイシモチ
Apogon ishigakiensis
2008.9.17 西表 
奄美以南の西部太平洋に分布。
珊瑚礁域の内湾の藻場周辺や,
砂泥底に生息。6cm程度。

体色は藻に似た緑色。
第1背鰭後縁の白いラインが目立つ。
ラインがなければ気づかないかも。
スミツキアトヒキテンジクダイ
Archamia dispilus
2008.9.17 西表 
奄美以南,浅い珊瑚礁域に生息。
淡褐色の体に橙色の細い横縞。
鰓蓋弁後方の赤色斑と,
尾柄部の黒斑が特徴です。

近縁種との混生群を形成します。
見分けが難しい・・・
アトヒキテンジクダイダマシ
Archamia fucate
2008.9.18 西表 
鰓蓋弁後方に赤色斑なし。
本種は尾柄部の黒斑が明瞭で,
不明瞭だとアトヒキテンジクダイ。
両者は,臀鰭軟条数にも違いあり。

右下の個体は,薄く赤色斑が・・・
スミツキアトヒキテンジクダイかな?
サクラテンジクダイ
Cercamia eremia
2008.9.15 石垣 
ほんのり桜色の,透けた体です。
口内保育時は,卵も見えます。
小さいテンジクダイですよ。

夜行性で,光を嫌うようで,
日中は,アーチや洞窟の中にいます。
伊豆にも結構いるそうです。
スダレヤライイシモチ
Cheilodipterus intermedius
2007.6.17 柏島 
尾柄部の黄色斑が特徴。
大きくなると黄色が薄くなるみたいです。
15cmくらいになります。

ヤライイシモチによく似るが,
太い縦帯の間に,薄い細腺が入る。
ヤライイシモチ
Cheilodipterus quinquelineatus
2008.9.17 西表 
浅いサンゴ群落域に生息。
体側の黒い筋は5本で,
他のヤライイシモチ属の魚より少ない。
尾柄部には,黄色地に黒い斑紋あり。

他のテンジクダイと混泳する。
スカシテンジクダイ
Rhabdamia gracilis
2008.9.17 西表 
体長3,4cm。
珊瑚礁域の浅場,砂地に点在する根に,
ものすごく大量に群れてます。
透き通った体で,骨や内臓が見えます。
吻端と,尾鰭の先端は黒いです。

わざと,まばらなところを撮影しました。
ホソスジマンジュウイシモチ
Sphaeramia orbicularis
2007.5.5 Palau 
内湾やマングローブ林の中などに,
まばらで小さな群をつくります。
大きさは6〜8cm程度です。

南の方にしかいません。
日本では西表島のみらしいです。
マンジュウイシモチ
Sphaeramia nematoptera
2008.9.18 西表 
西太平洋からインド洋に分布。
浅い内湾の静かな珊瑚礁域に生息。
数匹で群れて,フワフワ漂ってます。

10cm前後になるようですが,
圧倒的に小さい方が可愛いです。
英語名は,パジャマカーディナル。


2006.10.13公開
2008.12.7更新
画面りせっと